ふとしたキッカケで書いたコラム( https://sleepyheadjaimie.com/blog/?p=7557 )が、まずはfacebookのシェア(600シェア以上)で、作家/ジャーナリスト佐々木俊尚さんのツイート(2100RT以上)で、そしてはてなブックマーク等を通じて完全に一人歩きし始め、多くの方に読まれる結果となり、非常に驚いてると同時に、一生懸命書いたかいがあったと嬉しく思ってます。まずは、読んでシェアしてくれた皆様、ありがとうございます!
さて。
チラホラ見かけた共通してる疑問へのお答えと、多くの方が早く読みたいと仰ってくれてた「じゃあアンタはどうしてんだよ」って話。お届けしたいと思います。
後半の方法論についてはミュージシャン的な専門知識になるので、幅広い方に理解いただくのは難しいと思いますが、そしてまたまた長編になってしまいましたが、始めた話なので責任持って最後まで完結したいと思います。よろしくお願いします!
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● パート1『前コラムのおさらいと、共通した疑問へのお答え』
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まずは前コラムのおさらいを簡単に。
前回、ライブハウスでたった500円なのにCD(-R)が売れないのは
【1】様々なハードルがあるから仕方無いです (マーケティングの4P:製品/価格/広告/場所などに触れつつ)
【2】更に言えば、本気で、それを売る事を商売として、食っていく気が無いor足りないからです
と述べました。
それに対し、一番よく見かけた疑問は
「結局CD(-R)がどうしたら売れるのか言ってないじゃん」
「ミュージシャンは演奏に集中すべき、販売はセールスマネージャー(レーベル等)に任せろ」
「結局最終的に精神論へと斜め飛びしてて元も子もない」
というものでした。
あまり答えにならないかもしれませんが、、、
:: 疑問1「結局CD(-R)がどうしたら売れるのか言ってないじゃん」
根本的誤解があるかもしれませんが、もし「ライブハウスでどうやったらCD(-R)が売れるのか」を聞きたいのであれば、僕は答える事ができません。そもそも「その行為自体が非常にハードル高いから、上手くいかなくても嘆く必要ないですよ」というのがメッセージの1つでした。それに対し、少しでも多く音源やグッズ等も含め売上が上がるようになるに僕たちがどうしたかは、”次の機会”(この記事)でお答えしたいと思ってました。
:: 疑問2「ミュージシャンは制作/実演に集中すべき、販売はセールスマネージャー(レーベル等)に任せるべき」
これに関しては(業界の状況を含め様々な要因により個人的にはそう思いませんが)そう思ってる方がいらっしゃるのは納得できますし、それはそれで120%正当性があると思うのでそれを否定するつもりも一切ありません。ただ、そもそも「CD(-R)が売れなくて嘆いてるミュージシャン」、つまり部分的なり販売等もマネジメントする願望がある人へのメッセージをしたつもりでした。
:: 疑問3「結局最終的に精神論へと斜め飛びしてて元も子もない」
これは確かにそう取られても仕方無い書き方をしてる部分があったと思います。
ただ、あなたが「ライブハウスで500円のCD(-R)音源売れない」と嘆いてるとしたら、ほぼ間違い無く、あなたはいずれどこかのレーベルや事務所と契約して、”売れ”て、必然と食えるようになる、それまでは食えなくて当たり前。そう思ってると思います。(またドキっとした人いると思います。僕も以前はそう思ってましたし。ちなみにそれは全く悪い事ではなく、1つのまっとうな方法です。)
それって、前回ラーメンの話が出てたので再度ラーメン屋さんの例を使うと、『いずれカップラーメンになってそれがコンビニで売れて、そのマージンで食っていこう、それまでは自分の店はずっと赤字でいいや』って思ってるのと同じ事です。そんなラーメン屋さん、いつまでたっても有名どころか、黒字にも、美味しくすら、ならない気がしませんか?
商売の世界ではありえない他力本願気質が、ミュージシャンの世界では、当たり前としてまかり通ってます。先に述べたとおり「ミュージシャンは制作/実演に集中すべき」説も十分解るし正当だと思うので他力本願気質も否定はしませんが、「赤字でいいや」のラーメン屋さんと同じぐらい、他力本願ミュージシャンが音源販売等の「商売」は、上手にしていけると思えません。
ハードルの分析もマーケティング4Pの応用も、言ってしまえば結果論。結局スタート地点に「おれはコレで食っていくんだ、その為だったら何だってしてやる」という気持ちがあって初めて、難題を乗り越えられるアイディアやノウハウが生まれ、それを実現する体力と精神力が沸くと感じます。
自己正当化するようで恐縮ですが、「結局精神論じゃん」と腑に落ちなかった方は、きっと何か素晴らしいアイディアやメソッドで、魔法のようにライブハウスでCD(-R)が売れるようになる方法を期待して読んでた人ではないでしょうか。むしろ、そんな魔法はありませんよ、嘆く前にまずは自分の気持ちと、置かれた状況を冷静に見直しましょう、それからです、という事が言いたかったです。
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● パート2『「じゃあアンタはどうしたんだよ」にお答えします。』
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それでは前置きに前置きを重ね、やっと実戦に入ってみたいと思います。
でもその前に最後の前置きを3つ。(またか)
:: 前置き1 これは結果論です。
「疑問3」でも言った通り、これからする説明は、言ってしまえば「手段は問わずそろそろ食えるようにならねば!」って必死になった結果の、後付けに過ぎませんのでご了承ください。
:: 前置き2 あくまで”食えるようになる”事を目標と設定します。
「ライブハウスで500円のCD(-R)を売る」事が最終目標ではないので、「ミュージシャンとして音源/グッズ販売やライブのギャラで食えるようになる」という事を何よりも最重要課題として掲げ、現在そのようになれた話をしますね。(もちろん派生的にCDやiTunes音源は、以前より格段に売れるようになりました。)
:: 前置き3 僕たちの活動スタイル解説
僕たちは現在「ハンバーガーソング」というハンバーガーの歌を代表曲として、それやその他オリジナル曲/カバー曲を全国のハンバーガー店(各地のバー、カフェ、レストラン)で歌い歩く、という事を活動の主体としています。詳しくはオフィシャルサイト( http://www.sleepyheadjaimie.com PC推薦 )をご覧下さい
それでは、本題に入りましょう。(やっと)
前コラムでマーケティングの4Pに触れたので、その流れで解説したいと思います。
●●● 以前 ●●●
まずは、僕たちの「以前」の4Pをご覧下さい。
この頃はフリーターをしながらいわゆる”バンドマン”をしてました。音楽による収入はゼロに近く、バイト収入で生計を立ててました。恐らく、ライブハウスを活動の中心としてる多くのアマチュアorレーベルや事務所に所属してるセミプロミュージシャンが、知名度が低いうちはこのパターンに当てはまるのではないでしょうか。
ポイントは
● ライブハウスで活動してる為、チケット代が相場で固定、更に出演料(ノルマ)がかかる為、無名なうちは、マイナスにはならずとも、出演ギャラとして入るお金はほぼゼロ。
● CDやDL音源がレーベル出資でリリースされている為、売れても100%自分の売上となる訳ではない。(自主制作でCD-R等を売ってるアーティストさんは該当しません)
そして何より前コラムで触れた通り、ライブハウスではCDやグッズが中々売れにくいという現実があります。
これでは、それこそどこかの事務所やレーベルに拾ってもらって投資してもらうまでは、生計を立てる事は無理難題です。
それでは、それがどう変わったのか、ご覧下さい。
●●● 今 ●●●
「今」の4Pを図解するとこうなります。
「ハンバーガーソング」という曲の誕生をきっかけに、全国のハンバーガー提供飲食店でライブするようになりました。現在はキャンピングカーで北海道から沖縄を目指す「47都道府県ハンバーガー食べ歩き 無期限ライブツアー」中。最低限ですが、ライブとCD/グッズ販売で、なんとか生計を立てる事ができてます。
どう変わったかを一言でまとめると、
『ライブ活動のプラットフォームをライブハウスからハンバーガー店(バー/カフェなど飲食店)に[Place]をシフトし、それが結果的にライブの[Price]を変える事になった』
という一点に尽きます。
それだけか、と思われるかもしれませんが、この[Place]のシフトが、何重にも[Price]に影響し、売上ほぼゼロだった僕たちを、最低限ながら生計を立てられるぐらいの黒字に転換する事が可能になりました。([Product]と[Promotion]はさほど変わってません)
その様子を解説してみたいと思います。
【決定的なポイント=赤文字】
● [Place] 知名度や動員力が低くても、主にお店の常連さんやたまたま居合わせたお客さん達の前でライブをする為、全国どこへ行っても、必ずある程度の集客が見込める(お店さんに感謝!)。更にはお店の数だけライブができるので(動員割れなどが無い)、毎月十本以上とハイペースでのライブが可能。
● [Price] 入場料(チャージ)を取らないパターンがほとんどなので、知らない方にも気軽に、過ごしやすい環境(飲食店で着席)で観てもらえ、更にお客さんは飲食代以外は出費ゼロスタートなのでCDやグッズを買いやすい。
● [Price] お店は飲食代で売上を確保している為、出演料(ノルマ)がありません。そして投げ銭(チップ/おひねり)ライブなので、その100%が自分達のギャラとりなり、更にその価格は青天井。(ごくまれですが、1人1万円以上で投げ銭いただける事もあります。)
【決定的では無いけれど、潤滑な運営に貢献してるその他のポイント=オレンジ文字】
● [Price] CD/DL/グッズ全て自主制作+自主販売なので、マージンが極めて低い。
● [Price] キャンピングカー生活なので、ツアー中も宿泊など運営費が低い。
● [Promotion] 企画力で興味を引き(キャンピングカーで、ハンバーガー店のみを無期限全国ツアー)により、多数のラジオ/TV出演をさせていただいてます。
(そしてもちろん、これらが前コラムで提言した「CD(-R)が売れにくいハードル」をクリアする事に一役買ってるのも言うまでもないと思います。)
:: 短所は?
もちろん弱点もあって、例えば、このモデルだと永遠にツアーしていないといけません。正直僕たち自身、ツアーが終ったらどうしようか(10月沖縄ツアーファイナル予定)、非常に悩んでます。笑。(まぁツアー終了後もずっと月十数本のライブを続ける、というボトムラインチョイスはあって、そのぐらいの覚悟はありますが。)
あとは月に可能なライブの本数も必然と決まってくるので、このままだと現状以上の売上という成長が見込めません。
この辺は、僕たちが今後必死になって考えていかなければならない部分です。
:: 注意!
「ライブハウスは儲からないからやめた方が良い」というメッセージに伝わるかもしれませんが、そういった意図は一切ありません。僕たち自身ライブハウスで生まれ育ったミュージシャンで、今でも好きだし出たいです。ライブハウスでしか表現できない音楽も、ライブハウスでしか実現できないビジネスモデルももちろんありますし、更にはノルマ制の長所もたくさんあります。たまたま僕たちは「ハンバーガーソング」をきっかけに活動の主軸をハンバーガー提供飲食店に移した際の、あくまで一例であって、ライブハウス否定論と勘違いしないようにお願いしますね!
あとレーベル出資でリリースするメリットも、もちろんたくさんありますよ!
:: 応用がきかないから役に立たない情報だ!
「アンタはハンバーガーネタをたまたま見つけて、それを突き詰めたらたまたま食えるようになった。偶然で他に応用がきかないから役に立たない情報だ!」
なんて声が聞こえてきそうです。そしてそれはその通りです。(まぁほんの少しぐらいは役立つノウハウもあると思いますが)
でも、先に言った通り、これは結果論で、始めから、無名ミュージシャンが誰でも食えるようになる魔法のメソッドなんて知りません。むしろ、ありません。
この方法が優れてる訳でも、もちろんこの方法しか無い訳でもありません。
僕たちのマインドと辿った道が少しのヒントぐらいにはなるかもしれませんが、これはあなたの音楽であなたが食えるようになる為のノウハウ紹介では無い事をご了承ください。
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● パート3『おわりに』
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実は、ラーメン屋さんの例が何度も出てくるのには、明確な理由があります。
食えないミュージシャンだった頃、僕はこう考えました。
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世の中にはこんなにたくさん個人経営ラーメン屋さんがあって、彼らは無名でもみな食えてる。
ラーメンという商品を扱い、店を開き、お客さんに対価をいただき、経営している。
それに比べ僕たち無名(いわば個人経営)ミュージシャンは、ほとんんど食えてない。
音楽という商品と、ライブハウスやCD店などがありつつも、対価をいただく事は少なく、万年赤字が当たり前。
ちょっと待てよ。
ラーメン屋の店主さん達は商売の天才か?
彼らが立派な経営者なのは確かだけど、決して全員が天才でも超人でもない。
じゃあ僕らミュージシャンが、全員救いようの無いぐらいバカなのか?
そんな事も決してない。
もしかしたら、僕たち無名ミュージシャンが総じて食えないのは、自分の音楽という”商品”に向き合い、そしてそれで喜んでもらって対価を得るという”商売”に、真剣にそして必死に向き合ってないからなんじゃないだろうか。
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そう考えました。
“アーティスト”なんて呼び名やプライドも、
なんとなく不変的に思ってた「音楽で食う」方法も、
鮮やかなスポットライトや豪華な機材が揃ったステージさえも、
一度ゼロにリセットして考えてみて、
自分と、
自分の音楽と、
そしてそれを心から喜んでくれる人達がいる場所。
音楽の価値って、
ミュージシャンという職業商売って、
本当はそんなシンプルなもんなんだと思います。
そして音楽だけじゃなく、ラーメンだって、ビールだって、きっと同じです。
作り手と、商品と、喜んでくれる人。
その3つをよく考え、提供の場を作り出し、そこに上手に運ぶ事さえできれば。
そして何よりその事に人生をかけるぐらいの「必死さ」で努力すれば。
きっと喜んでくれた人達が、あなたの商品に感謝、その努力に感動して、
そして喜びを対価として、あなたに返してくれると思います。
それが商売をする、という事なんじゃないかな、と今は思います。
47都道府県ツアーを始めて、そしてこれで生計を立てるようになってはや7ヶ月。
27都道府県の95店舗をまわり数知れない人達の前でライブをしてきた今、
僕たちは自分たちの音楽をこんな風に考えるようになりました。
おわり
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またありえない長文になってしまいました(汗)
前回の倍ぐらい、、。
「必死になれ」みたいな精神論や抽象論しか書かずに言いっぱなしで恐縮なので、またタイミングを見つけて次回は、ミュージシャンやクリエイターを始め、無名でもギャラ(など対価)をちゃんともらえるようになる簡単な方法、、、というか個人的な心得を書きたいと思ってます。乗りかかった船なので!三部作!(笑)
今回も、少しでも皆さんにとって、ふとした気付きになれば幸いです!
長々と、お付き合い本当にありがとうございました!
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